クラインのメモ帳

ゲームや日常について徒然と

『ファイアーエムブレム暗黒竜と光の剣』プレイ感想

始まりのファイアーエムブレム
そして、初めてのファイアーエムブレム
プレイ時間は約50時間。
プレイ環境は、Nintendo Switch Online ファミリーコンピュータです。

【全体的な感想】
30過ぎにして、初めてプレイしたファイアーエムブレムになります。
ですので、私にとっては「ファイアーエムブレムとはこういうもんだ。」というのを教えてくれた、そんな作品です。
思った動きができなかったり、敵から思わぬ反撃を受けたりと、何回もリセット(Switchなので正確には巻き戻しやロード)を繰り返しながら、ゲームを進めていきました。
そもそも、一番最初は「ユニットごとに移動できるマス目の数に制限がある」ということを理解していなかったため、「なんでこいつはここまでしか進めないんだろう?」と思うこともありました。
また、第6章は「ファイアーエムブレム」という作品タイトルを冠したマップだったため、その名前を見たときに、「あ、もうこのゲームもクライマックスだ。少なくとも半分以上は進んでるな。」と、思い込んでしまいました。

本作をファイアーエムブレムシリーズの中で見た場合、その後の『紋章の謎』第一部及び『新・暗黒竜』でのリメイク、あるいは『スマブラ』シリーズ、『幻影異聞録』、『無双』へのキャラクター参戦を通して、そのキャラクターやストーリーが広く知られていて、知名度の高い作品だと認識しています。
私自身、「シミュレーションゲームでのユニットを駒ではなく個性を持ったキャラクターにしたい」という製作陣の意図したとおりに、このゲーム、そしてキャラクターたちの虜になりました。
実のところ、「マス目に従ってキャラを動かす」ことから、プレイ前は「とても地味で退屈なゲームなのでは?」と思っていました。
ところが、各ユニットの特性が生み出す行動がハラハラさせるものばかりで、毎ターン手に汗握る攻防が続くこともありました。
それに加えて、本編のストーリーが乗っかってくるので、実際にプレイしてみると、楽しくないということはありませんでした。
そういう意味では、私のように、ウォーシミュレーションやシミュレーションRPGをやったことが無い人にこそ、本作を味わってほしいと思います。
さて、前述の通り、私はこのゲームで「ファイアーエムブレムとは、このような特性を持ったユニットが登場し、このようなシステムで進めるゲームなのだ。」という、「基本」を教わったような気がしています。
これを書いている時点では、すでに数作品をプレイしましたが、その際も、またこれから他の作品をプレイする際も『暗黒竜』を基準にプラスマイナスする形で理解していると思うので、そういった意味では、私の中ではシリーズの基礎であり続けることと思います。

【システム】
上述の通り、「なるほど、これがファイアーエムブレムの基本システムか。」といった印象を持ちました。
特に、私の場合は「これがSRPGのシステムか。」と感じたと言ってもいいと思います。
率直に言って、初代作、またFCというハードの制約上、一番「しょぼい」システムなのかなと思っています。
例えば、『外伝』でもそうですが、敵がどこまで進んでくるかは、敵ユニットにカーソルを当てるだけでは分からず、敵の移動力を元に計算しないと分かりません。
また、アイテムは武器と道具を合わせて4つしか持てません(そのおかげで、無駄な買い物は少なく、お金は余り気味でしたが…)。
加えて、輸送隊は存在せず、所持数をオーバーしたアイテムは預り所に預けられることになります。
ですので、アイテムを引き出すには預り所を訪れる必要があります。
アイテムで言うと、出撃準備のためのアイテム整理もできないため、各章で拠点制圧の前に次章に備えてせっせとアイテムの整理をしていました。
逆に言えば、本作や同じくFCでリリースされた『外伝』で、そういったシステムに慣れてしまえば、SFC以降の作品は便利になる部分も多いので、システム的にとっつきやすくなるのかなとも思っています。
本作のリメイクを含む『紋章の謎』と比較すると、僧侶の経験値獲得方法が「杖を振る」ではなく、「敵の攻撃を受ける」だったり、闘技場での武器が持ち込み制だったり、SFCでは削られたマップやキャラがいたり、といった点が目に付きました。
新・暗黒竜と光の剣』は冒頭をプレイしたのみですので、詳しい比較はできませんが、それでも『紋章』と同じく、マップやキャラに異なる点があることが分かりました。
あと、本作におけるドーピングアイテムはブーツも購入できてしまうため、バランスブレイカーと思われたのか、『紋章』ではその購入ができないように縛られていました。
支援というファイアーエムブレムではお馴染みのシステムも本作には登場しません。
このように現在のファイアーエムブレムと異なる点も多く、リメイク版も出ている30年前の作品ではありますが、今と異なる点を楽しんだり、シリーズの原点を探るために、別作品としてプレイ、再訪する価値は今でもあると感じました。

【キャラクター】
本作はシリーズの初代作品ということもあって、登場キャラクターは、後の作品でも「こいつはジェイガンキャラ」とか「これが今作のチキか」など、比較される元になったキャラが多数登場しています。
チキなんかは「石の力で竜に変身できる小さな女の子」という、(今でも通用しそうな)設定を見て「本当に30年前のキャラなんだろうか?」と思いました。
私が主力として使ったのは、マルスのほか、カイン、アベルシーダミネルバ、マリク、マリア、リンダ、ミディア、オグマ、ナバール、ジュリアン、ジョルジュ、チキ、チェイニーといった面々でしょうか。
あまり王道的ではない人選かもしれません。
システムとも絡むのですが、竜石の使用に回数制限がないので、バヌトゥもチキの加入まではまずまず使っていました。
あと、チェイニー(クラス:コマンド)ですが、『暗黒竜』ではHPや移動力もコピーしてしまうため、めちゃくちゃ強かったです。
これは敵ユニットも含めてですが、リリースが1990年とファミコン末期ということもあって、特に、戦闘中のユニットのグラフィックやその動きはかなり精緻だという印象を持っています。

それでは、個別に気になったキャラの印象を。

マルス
我らが主人公、ファイアーエムブレムの顔という印象です。
『紋章』以降の作品では中世ヨーロッパ風の出で立ちですが、本作では各キャラとも古代ギリシャ風の見た目をしています。
ファイアーエムブレムの主人公は弱い」を作った張本人ですが、レベル10を過ぎるあたりからはかなり戦闘の主力として使っていました。
2019年現在だと、こういう線が細くて、(最初は)弱い主人公って違和感はないんですが、ゲームがリリースされた当時でも受け入れられる存在だったんでしょうか。

シーダ
一生、マルス様といちゃいちゃしていてください。
正直、ドラゴンナイトにクラスチェンジさせるかどうかは、かなり迷いました。
三姉妹を含めて、ペガサスナイトというクラスのキャラは、それそのものが彼女らのアイデンティティだという気がします。
ペガサスとドラゴンだとあまりにイメージがかけ離れているからでしょうか。
あと、名言が色々ありますね、この人は。

リフ
マルスファイアーエムブレムというシリーズ全体の顔だとすれば、リフは『暗黒竜』の顔といっても差し支えないと思います。
『紋章』では削除されていましたのでなおさらです。
おそらく、男性の僧侶キャラが彼しかいなかったのが『紋章』で削除された要因かと思います。
と、ここまで彼を持ち上げていますが、プレイではあまり使いませんでした……

ジュリアン
名前から男性だと分かるのですが、そのビジュアルのために最初は「…女性??」と思いました。
序盤に登場するジュリアンとレナ、王族のミネルバとマリアの影響で「マケドニア人=赤髪」の印象が強いです。
あと、盗賊ユニットは敵も含めて、戦闘中の動きがわさわさしてる印象です。
素早い動きを表現しているのだとは思いますが…

ミネルバ
仲間になった次のマップだったかに闘技場があったので、そこでせっせとレベル上げをしていた記憶があります。
最初から上級職のドラゴンナイトなので、稼ぎはしやすかったです。
ミネルバはカッコいい女性キャラの代表ですよね。

チェイニー
(マップ上で)めっちゃぐにゃぐにゃ動くなぁ!!

ハーディン
…なんか、すげー見た目の人だな……

チキ
本作で初登場し、様々な関連作品に様々な容姿や役割で登場する彼女も、ファイアーエムブレムの顔と呼んでいい人物かもしれません。
また、シリーズで半ば恒例となっているマムクートの幼女キャラの元祖でもあります。
FC版のエンディングのエピソードも可愛い感じがしていいですよね。
『紋章第一部』のエンディングは『紋章第二部』への繋がりを意識したものになっていたので、変化を感じるためにこれはこれでFC版をプレイする価値ありですね。
本作ではマムクートというクラスでの登場のため、バヌトゥや敵のマムクートと同じ見た目をしています。
そういえば、マムクートの男の子って出たことあるんでしょうか……
設定的にはいてもおかしくないと思うので、機会があれば一度登場してもらいたいですね。

【ストーリー】
紋章の謎』との比較になりますが、本作は「正義と悪が対決するお話」という印象を受けました。
端的に言うと、親を殺され、姉を奪われたマルスが、愛するシーダの故郷タリスが襲われたことをきっかけに蜂起するところから始まる復讐譚です。
『紋章』は「正義の反対は悪ではなく、別の正義」といった印象だったので、『暗黒竜』は初代作ということもあり、より王道的なわかりやすいストーリーだと感じました。
『紋章』には劣るかもしれませんが、物としての「ファイアーエムブレム、炎の紋章」が脚光を浴びる作品でもあります。
本作の「仲間が主人公を支え、主人公もそれに値する振る舞いを見せ、ともに前に進んでいく」というストーリー展開は、その後のファイアーエムブレムの原風景とも言えるのではないでしょうか。

【音楽】
メインテーマ、出会いのテーマなどは、今作で初登場し、リメイク等を重ねるごとにボリューム感がアップしていってる感じですね。
オープニングの「はじめに、暗黒竜、光の剣ファルシオン、そして、炎の紋章があった…」という文字列が表示された後に流れるメインテーマは「全てはここから始まったんだなぁ。」と感じさせるに充分なものでした。
プレイ中の音楽は何度も聴くものが多く、何度聴いても飽きないように作られてるという感じがしました。
有名な「出会いのテーマ」は、実はYouTubeのnintendo mobileチャンネルでのFEHのキャラ紹介動画でアレンジバージョンを聴いたのが初めてだったのですが、本作をプレイして、この曲が聴こえたときに「おおっ、愛されてる曲なんだなぁ!!」と感じました。
反対に、自軍攻撃時の戦闘曲やマップ曲など、リメイク作品では取り上げられなかった曲も使われています。
リメイクを重ねるごとにハード性能も上がっているため、生楽器を意識した音作りがされるようになりましたが、おそらく、ピコピコ電子音の中でも生楽器風のアレンジが難しかったものがあったのだと思います。
プレイ中に何度も聴いた曲だっただけに、リメイクで使われなかったのは少し残念でした。
もし、またリメイクを作ることがあるのならば、『暗黒竜』の楽曲をブラッシュアップしたものが聴いてみたいなと思います。