クラインのメモ帳

ゲームや日常について徒然と

『モチ上ガール』プレイ感想

ステージ、キャラクター、音楽などを高校生の作者がひとりで作り上げ、数々の賞を受賞したワイヤーアクションプラットフォームゲームのプレイ感想。
プレイ時間は、約5時間。
プレイ環境はNintendo Switchです。

【全体的な感想】
2020年最初にクリアした作品です。
本作をプレイした動機ですが、「今までにあまり触れてこなかったジャンルやシリーズに手を出してみよう。」という観点でゲームを眺めていて、「あ、これなら楽しく遊べそうだ。」と感じたのがきっかけです。
本作はワイヤーアクションが主体のプラットフォームゲームです。
こういったジャンルのゲームは、それほど得意ともいえるレベルではなかったため、長らく遠ざかっていましたが、後に述べるようにシンプルな操作性と耳触りの良い音楽に惹かれて本作を購入・プレイしました。

プレイした感想ですが、シンプルながらもアクションゲームらしいテンポのよさが要求される操作、ゲームとマッチした音楽、ゆるくて可愛いキャラクターが印象に残りました。
「優しいがやりこむ余地の大きいゲーム」といったところでしょうか。

やっていて匙を投げたくなるような難易度のステージはありませんでしたし(ボス攻略後のオマケステージは除く)、アクションゲームをクリアするのに必要なトライアンドエラーを比較的易しいレベルで提示してくれるゲームなのかなと思います。
久しぶりにプレイしたアクションゲームとしては「当たり」だったと思います。

本作はゲームのプログラミングの他、キャラクターや音楽を含め、高校生の作者がほぼひとりで作成したとのことで、そういった意味でも素敵な作品だなと感じました。

【システム】
まず注目すべきは、その操作性についてではないかと思います。
上述の通り、本作はワイヤーアクションを主体としたアクションゲームですが、その操作性については驚くほどシンプルだと感じました。
プレイ中にするのはスティックキーとAボタンのみ。
Aボタンでジャンプし、ジャンプ中にさらにAを押すことでワイヤーとなる餅を繰り出すことができます。
スティックキーは、その餅を繰り出す方向のほか、自キャラを動かすために使用します。
これ以外、ゲームプレイ中に触るボタンはありませんでした。
アクションゲームは、おおよそシンプルな操作のゲームが多いですが、UIやメニューが複雑な場合や、どんなにシンプルな(例えば、FCの)ゲームであっても、ボタンは複数使用する場合が多いのではないかと思います。
操作がAボタンとスティックのみでできるということは、反対に言うとパワーアップアイテムやそれを使用するメニュー画面のようなものはないということになります。
取得物としては、唯一、収集要素として、各コースにみっつずつ、様々な見た目の「お寿司」が配置されています。
これも、どんな「お寿司」を取得したのかを確認する画面はありません。
取得時にキャラクターと「お寿司」がアップで映るので、「見て楽しんでくださいね。」といったところでしょうか。

ゲームは縦横にスクロールするステージをワイヤーとなる餅を使って進んでいくプラットフォームアクションです。
操作はシンプルながらも、タイミングやスティックのちょっとしたズレでミスしたり、ステージクリア時間が伸びたりと、決して簡単とは言い切れないゲームでした。

アクションでありながら、時間切れ、ゲームオーバーや残機の概念がないのは新鮮でした。
足場から落ちたとしても、その足場から再開できます。
ゲーム内の時間は減っていくのではなく、増えていくカウントがされ、おそらくタイムアタックを意識したつくりになっています。
ですので、ミスによるペナルティらしいペナルティといえば、クリア時間が延びるくらいしか見当たらないと思います。

タイムアタックについてですが、ボスステージは比較的攻略法が見つけやすかったため、何度かチャレンジしてみました。
やりやすいステージは頑張れば数十秒でクリアできるので、「次はもっと早く!!」というようにやる気が湧いてきて同じステージを何度も連続でトライもしました。

本作はスタッフロール中にもある操作ができます。
スタッフロールはタイトル画面から任意に見ることもできますし、ボス撃破後のエンディングとして見ることにもなります。
その際、Aボタンを押すと、ユキが様々なところから飛び出してきて、可愛らしくしゃべります。

【キャラクター】
ゲームをプレイする中では、特に登場人物について触れられることはありません。
ボスキャラとの戦いにおいても、特に会話を交わすことなく突入します。
キャラクターは敵も味方も低い頭身で描かれ、少しゆるーい雰囲気を醸し出しています。
公式の情報によれば、主人公の女の子は「ユキ」という名前で、年越しうどんの「ムギ」はライバルのようです。
本作はあくまでも、プラットフォームアクションゲームなので、キャラクターをしゃべらせたりして、深い個性を与えなかったのはある意味で正解なのかもしれません。
キャラクターがゲームの雰囲気を作っているというよりも、あくまでもワイヤーアクションを支えるためにゲームに寄りそっている、そんな印象を受けました。
アクションゲームでも、ヒントやお助け目的など、何かしら発話するキャラクターは多いですが、本作はそうしたキャラクターのおしゃべりがなくても、充分魅力的な作品に仕上がっています。
また、その点から、ノーヒントでもクリアができるようにうまくデザインされたゲーム、ということもできるのではないでしょうか。

印象に残ったキャラクター、というほどでもないのですが、主に「ミサイルバ」のステージに登場する敵キャラで魚の形をしたものがいます。
このキャラクターは、掴んで壁に投げて当たると爆発し、壁が壊せるのですが、なかなか思った方向に投げられなかったり、誘導が難しかったりと厄介な存在でした。

【ストーリー】
ストーリーらしいストーリーは特段ないのかな、というのがぼくの印象です。
少なくともゲームを進める過程において、プロローグ、エピローグ、イントロダクションに相当するものはありませんでした。
プレイヤー側が「なぜユキは旅に出たのだろうか。」などと想像してみる楽しさが残されているということができるかもしれません。
ですので、ここではゲームの世界観に少し触れておこうかと思います。
作者が徳島の出身ということもあり、登場するキャラクターやステージは徳島県やその周辺(香川県和歌山県)をモチーフにしたものが多く登場します。
橋や山などはアクションゲームのステージとして親和性も高くて、いい雰囲気だなと感じました。

【音楽】
聴き心地のよい音楽は本作の素晴らしい点のひとつだと思います。
特にPVで流れていた「海峡大橋水直下」はゲームの購入を決めた要因のひとつです。
軽快なアクションゲームの楽曲ですので、どの曲もそれにあったリズミカルなものに仕上がっています。
本作の楽曲はゲームの公式ページからもアクセスできる通り、作者自身がsoundcloudにアップされています。

以下、印象に残った曲です。

MoriAGirl
もりあがーる。
一面の曲で、文字通り、ゲームに触れたプレイヤーを盛り上げていく曲です。
『東方』シリーズに登場しそうな楽曲だなぁという印象を受けました。

AttractiveBattleCode
ボス戦の曲です。
このボスは上手くタイミングが掴めるとガンガン攻めることができたので、何度もタイムアタックをしました。
ですので、冒頭部分がとても記憶に残っている曲です。

海峡大橋水直下
上でも述べた、PVで使われていた曲です。
印象に残った人が多いのか、この曲はsoundcloudでも「MoriAGirl」に次いで再生されています。
「MoriAGirl」はリストの一曲目であり、ページを開いた瞬間に再生される曲なので、実際には「海峡大橋水直下」の再生数の方が多いのかもしれません。
水の上を跳ぶように進んでいくステージ構成とこの楽曲はよくマッチしていると思いました。

もちもちうどんバトル
ラスボス戦の曲です。
ボス戦、かなり苦戦しました。
腕に自信のある人なら問題ないのかもしれませんが、私の場合、運よく勝てたといってもいいかもしれません。
かなりの回数聴いた(聴くことになった)曲です。