クラインのメモ帳

ゲームや日常について徒然と

『ファイアーエムブレム聖戦の系譜』プレイ感想

現在まで続くシステムの基礎を作った人気シミュレーションRPGシリーズ4作目のプレイ感想。
プレイ時間は、約95時間。
プレイ環境はWii U バーチャルコンソールです。

【全体的な感想】
昨年から『暗黒竜』『聖魔』『紋章』とプレイしてきて、本作はファイアーエムブレムシリーズで4作品目のクリアタイトルとなりました。

本題に入る前に、プレイして、早速序章だけで「あっ!」と驚かされた点がふたつあります。
まずマップの広さです。
これはおそらく多くの人が言及する点かと思います。
マップは広くてもトータルの章数はそれほど多くないことはあらかじめ知っていましたので、トータルではそこまでのボリュームは感じませんでした。
もう一点、序章の段階で感じたのは、「この段階で、もう銀の装備が手に入るのか。」ということです。
これまでに触れた作品ではゲーム中盤以降での入手が基本だった銀装備が、すでに序章のイベントで入手出来てしまったことに驚きました。
また同時に、次章から登場する敵がどれくらい強敵なのだろうかと想像されました。
銀の剣に見合う敵が出るはずだと考えたからです。

そんなこんなでプレイを進めていきましたが、重厚なストーリーはもちろんのこと、これまでの『暗黒竜』『外伝』『紋章』とはまた違ったシステムもふんだんに盛り込まれていたように思います。
詳細は後述しますが、一新された箇所、今作だけの箇所など様々です。

広いマップだからと、どんどんユニットを前進させてしまったがために、負けてしまったこともしばしばありました。
このあたりはシリーズお馴染みの展開ですが、マップが広いため注意を向ける方向が様々に散っていたのだと思います。

舞台設定についてですが、プレイ当初は地名や人物名、家系の話など、込み入った設定だと感じ、少し混乱しそうでしたが、数章進めるうちに慣れてしまい、しっかりとした設定だなと思うようになりました。

本作の難点らしい難点を挙げるとすれば、戦闘時の味方と敵のバランスでしょうか。
楽に進めすぎる、あるいは反対に運に頼らざるを得ない。
そういった戦闘が、終盤に近付くほど多くなりました。
ただ、味方の全ユニットがそうだったというわけではありませんし、ストーリーやプレイヤーの心情的な盛り上がりとの連動を考えると、気にならないかもしれません。
何よりも、どのような子世代ユニットが生まれるかは、親世代のカップリング次第なので、私がプレイした子世代の場合はそうなった、と解するのが正解かもしれません。

【システム】
ゲームを開始すると流れるのは兵種紹介ではなく、ストーリーの断片をマップや戦闘・会話画面を通して見ることになります。
これもそれまでのファイアーエムブレムシリーズからすると新しいものだと思います。

今作から登場した武器の三すくみは、その後のシリーズでも多く取り上げられたシステムです。
本作で初登場となったせいか、こころなしかこのシステムが優遇されている気がしました。
『FF4』で初めて登場した戦闘中の時間の流れを意識した戦い方が優遇されていたのと似た感じです。
ただ、それはあくまでも、三すくみだけに着目した話で、武器の重さでかなりのバランスが崩れているような印象は受けました。
シリーズ次作となる『トラキア776』では改善されているようですが、斧が全体的に重い武器であるために、回避や追撃等で不利になりやすい印象は受けました。
ただ、親世代のレックスはかなり強い印象だったので、そのあたりはもう一度彼のステータスを見て確認したいと思います。

気に入ったキャラクター同士をくっつけられる恋愛システムも本作からの登場です。
『紋章』で隠し要素的に登場した支援システムの発展形といえるでしょう。
本作の、特に親世代においては、キャラクター同士の支援だけでなく、ふたりの間に産まれる子世代のキャラクターのステータスにも影響するので、誰と誰をくっつけるかは重要になります。
このように、プレイヤー側が単なるお楽しみ要素ではなく、戦略上重要なシステムとして取り組むように仕向けたのは、新システムの導入としては上手かったのではないかと思います。

個人的に気分を盛り上げてくれたのは、各章で本城から出撃するというシステムと制圧拠点の守備ができるという点でした。
本城でユニットが並んでいる出撃前の姿は「さぁ、やるぞ。」という気にさせてくれましたし、城の守備も敵ができていることをこちらもできるようになることで、リアリティがあったような気がします。

敵味方の戦力バランスですが、上述の通り、特に終盤では両極端な戦闘を強いられたような気がします。
つまり、ザコの攻撃にはほとんど当たらないが、ボスクラスになると、反対に祈らないと攻撃が当たらないなど、両極端な戦闘が多くなったということです。
様々な特性を持つユニットたちを総和させると、バランスはよかったのかもしれませんが、いずれにしても、戦いは一対一で行いますので、このあたりのバランスは両極端だったと思います。

周回プレイでオープニングデモの演出が様々に変わるのは凝ったつくりの「ご褒美」だなと思いました。
10以上のパターンがあり、かなりストーリーの核心に迫るシーンもその中には含まれているようで、やりこむべきゲームという印象を与えてくれます。

【キャラクター】
本作はキャラクターのためにストーリーが用意されたというよりも、ストーリーを支えるためにキャラクターが存在するような、そんな作品だったと思います。
ですので、個性や見た目のインパクトがものすごく強いキャラというのはそれほどいなかったように思います。
敵側にも、単純な悪者や深い事情で敵対しているような存在はいましたが、時にコミカルな雰囲気を演出する「悪役だけどどこか憎めないキャラ」というのはいた記憶がありません。
全員出撃可能な本作ではありますが、それでも、全く出撃させなかったキャラや徐々に出撃しなくなったキャラはいます。
親世代だと子世代に結びつかないキャラクター、子世代だと終盤加入のキャラクターでしょうか。

その中で特に印象に残ったキャラクターを。

アーダン
彼は親世代子世代通して、ほとんど唯一の癒しではないでしょうか。
隠しイベントでアイテムを入手できますが、そのシーンでも彼らしさが出ていたと思います。
惜しむらくは、本作のマップの広さ、あるいはクラスチェンジ前後ともに騎乗ユニットではないということでしょうか。
あるいは、従者ではなく、聖戦士の血を引く存在だったら、どうだったのだろうとは思います。

アレス
あまりにも唐突にエルトシャンの子として登場したので驚きました。
親世代ではまったく話の出てこなかったエルトシャンの婚姻関係、既婚者であることを踏まえた上でのラケシスとの関係など、色々と考えさせられるところはありました。
名前もセリスと似ているため、なんというか、後付け感もします。
ユニットとしてはミストルティンの持つ魔防ボーナスには助けられました。

ヒル
聖戦士の血を引く人物でも、小者感を漂わせているレプトールのような人物はいましたが、彼女は最初から最後まで残虐な悪者・悪女として描かれたためか、まったくそういった印象は受けませんでした。
そうした点から、ボルガノンではなく、もう少し強い武器を与えてもよかったのではとも思いました。

アルヴィス
本作で一番悲しい役割を演じた人物なのではないでしょうか。
子世代終盤で敵(それもセリスにとっての親の仇)として登場しますが、ティルフィングを間接的にセリスに託すくだりなど、関連する演出が見事で、より一層悲壮感を与えてくれたような気がします。
『聖戦』で一番の名優だと思います。

クロードとシルヴィア
ふたりセットで。
クロードとシルヴィアが作中会話するシーンがあるのですが、そこから推測するにおそらくふたりは生き別れた兄と妹のようなのです。
しかし、「こいびと」関係を成立させ、子世代にスキルやアイテムを引き継ぐことができます。
肉親なのかどうか特段名言はされていないので、このあたりの解釈はプレイヤーに任せられているような気がしますが、ちょっと衝撃ではありました。

アリオーン
トラキア王国の王子です。
『暗黒竜』や『紋章』でいうところのミシェイルのように、「赤い竜騎士」を妹に持つ存在です。
ミシェイルは不幸な最期を遂げますが、『聖戦』のアリオーンは展開次第では、仲間にすることができます。
仲間といっても、友軍ユニット扱いではありますが、それでも、生きて共に戦ってくれたのはミシェイルのことを知っているだけに嬉しかったです。
本作ではドラゴンナイトの兄妹だけではなく、父親にもスポットが当たっており、父親の方が救われない役割を引き受けたために、兄が救われたという考え方もできるかもしれません。

【ストーリー】
本作では、最後の最後で邪悪なる存在のようなものと対峙しますが、基本的には何度となく繰り返される人間同士の争いが描かれています。
人ならざる者との戦闘はほとんどありませんし、どのキャラクターも内面はどうあれ見かけ上は人間です。
人間同士の国家間の争い、つまり『聖戦の系譜』は戦争が描かれた作品であるということです。

主人公のシグルドが、知らず知らずのうちに、大きな争いに巻き込まれていく様が描かれるのが親世代の展開です。
その過程でシグルドは、友を失い、親を失い、そして愛する人を失います。
そして、親世代のエンディングへ。

親世代エンディングのイベントはおおよそどういう形になるか見当はついていましたが、唐突に出てくる文字による語りが、いい意味でプレイヤーと突き放しているように感じられました。
これによって、プレイヤーは衝撃的なイベントに続き、唐突に親世代の終わりを告げられ、茫然とした気分を強く感じることになったのではないでしょうか。

子世代は親世代の悲劇の仇討ちのような展開でスタートします。
「もう子どもじゃない」というようなセリフも飛び出し、またしても、スタートはあくまでも小さな、個人的な動機でスタートします。
親世代の一見大きな争いも「たかだか」国家間での戦争に過ぎず、子世代にとっては物語をスタートさせる「きっかけ」であったというわけです。

このように子世代の主人公セリスも、シグルド同様、知らず知らずに大きな争いに巻き込まれていくのですが、大きな流れとして決定的に違う点があります。
それは、シグルドが追われる者であったのに対し、セリスは追う者であったという点です。
シグルドはストーリーが進むにつれ、反逆者の汚名を着せられ、賞金首に近い扱いを受けます。
当然、アルヴィス以下、各家の人々からその命を狙われることになります。
対して、セリスは解放軍のリーダー役から始まり、終盤の暗黒神の復活阻止まで、終始、求める側、追う者としての立場で行動します。
その違いはプレイヤーの心象にも作用することでしょう。
追われる者の立場であれば、どん詰まりの追い詰められた絶体絶命状態にじりじりと近づく感覚でプレイすることになりますし、追う者の立場であれば、勢いに乗って進んでいく感覚でプレイすることになるかと思います。
本作は「ストーリーがよい」と評されることの多い作品ですが、その理由のひとつは上記のように、プレイヤーの心情に対してストーリーのアップダウンを上手く訴えかけることができたからではないかと思います。

【音楽】
前作『紋章』に比べてさらに大きなメモリ容量のカートリッジを採用したことで、音楽もパワーアップ。
オープニングで高らかに奏でられるメインテーマは今までプレイしたシリーズ作品の中では最高だと思っています。

本作で登場し、後のシリーズに引き継がれたものは音楽にもあります。
レベルアップのファンファーレは、『紋章』以前の作品がリメイクされた際にも使われている点から、ファイアーエムブレムシリーズを代表するものと言えるかもしれません。

上記以外で、特に印象に残った曲など。
言い出せばキリがないので、数はかなり絞りました。

聖騎士誕生
序章のマップ音楽として登場します。
そして、終章のマップ音楽やレベルアップ時など様々な場面でそのアレンジを耳にする曲です。
そういう意味では、『聖戦の系譜』を代表する曲と言えるかもしれません。

会話1
たしか、本作をプレイする前の段階で、初めて聴いた『聖戦』の音楽だと思います。
物悲しい感じの音楽で、いったいどういったシーンで流れるのだろうかが気になっていた曲です。
実際には会話、それも恋人たちが愛を語らうような会話や肉親同士が感動の再開を果たすシーンで聴くことのできる曲です。
心が動くという意味で文字通り感動を誘う曲だと思います。

トラキア
敵軍が行動する曲はいくつかありますが、その中でも一番お気に入りの曲です。
軽快な感じがトラキア竜騎士団とマッチしていていいですね。
ストーリーの展開上、当然と言えば当然なのですが、終章でも聴けたのが嬉しかったです。

『イースⅠ・Ⅱ』プレイ感想

現在まで続くシリーズの基礎を作った作品のPC エンジン移植版のプレイ感想。
プレイ時間は、約20時間(推定)。
プレイ環境はPCエンジンミニです。

【全体的な感想】
イース』シリーズに触れるのは本作が初めてです。
名作、名移植との呼び声が高い本作ですが、30年以上前の作品ということで、楽しめるかどうかなどについて全く不安がなかったわけではありません。
しかし、シンプルで分かりやすい操作、ゲームを盛り上げてくれる映像や音楽の数々、そして、魅力的なキャラクターと感動を誘うストーリーのおかげで、最初から最後までダレることなくプレイを進めることができました。
正確なプレイ時間は分かりませんが、飽きず倦まずにプレイできるちょうどよいボリュームだったと思います。
レトロゲームにありがちな単調なレベル上げや回りくどいダンジョンなどもなかったわけではありませんでしたが、そこまで気にはなりませんでした。


【システム】
このゲームの根幹がキャラクターやストーリーであるとするならば、それを支える環境がシステムといえます。
システム、特に技術面での素晴らしさを端的に述べるなら、音楽や映像による演出が当時の家庭用ゲーム機の最前線ともいえるレベルだったということです。
サウンドトラックからそのまま飛び出したような音源、声優によるキャラクターのボイスとそれに連動したドット絵によるアニメ、そして、それらで表現される演出の量。
本作が世に出たのは1989年。
まだ、スーパーファミコンもなく、ファミリーコンピュータ向けソフト『ドラゴンクエストⅣ』や『ファイナルファンタジーⅢ』も発売されていない時代です。
そんな時代に、音楽も映像もふんだんに取り入れられるCD-ROMという媒体で出たゲーム、それも『イース』というビッグタイトルが与えた衝撃はいかほどだったでしょうか。
元々、『イース』や『イースⅡ』の音楽や映像表現は素晴らしいと評判だっただけに、なおさらです。
オリジナルとなる『イース』や『イースⅡ』も、難しいRPGが増えつつある時代に、優しさを目指した点が衝撃的だったそうですが、その移植作である本作も上記の理由から相当なインパクトを与えたものと思います。

さて、ゲームそのものの操作系についてですが、キャラクターの移動については方向キーで行ういわゆる2D見下ろし視点のアクションRPGのそれです。
注目すべきは敵への攻撃時の操作です。
敵への通常攻撃時にこちらが行う必要のある操作は、ただ敵にぶつかるのみです。
そうすると、敵にダメージが入り、こちらの守備力いかんではこちらにもダメージが入るという仕組みになっています。
また、敵は基本的には飛び道具を使った攻撃はしてきません(こちらはできるのに)。
これはタイミングよくボタン操作して敵を攻撃・回避することが求められる(というか、それがなければアクションRPGと呼べないことが多い)アクションRPG作品の中では異色とも呼べるポイントだと思います。

キャラクターの成長と難易度についてですが、戦闘で得られる経験値が主人公のアドルと
敵キャラとのレベル差で決まるので、必然的により強い敵との戦闘を試みるようにデザインされています。
ただ、戦闘以外にイベントでの経験値(こちらは固定経験値)も入手できますので、自然と成長できるようにはなっています。
また、戦闘を避けても、『Ⅰ』『Ⅱ』それぞれの終盤では長いダンジョン攻略が要求されるため、必然的にレベルは上がっていくものと思います。
実際、そこまで熱心なレベル上げは行っていませんでしたが、最終的には90,000以上の経験値を得て、HP・MPは最大値と思われる255まで上げることができました。
こうして自然とレベルが上がっていき、敵も弱すぎず強すぎずの状態が終盤まで維持できているのは、優しいと同時に素晴らしいと感じました。


【キャラクター】
メインのキャラクターにばかりになるとは思いますが、印象に残ったキャラクターの紹介を。

アドル
本作の主人公で、当時の説明書(コナミPCエンジンミニ公式Webサイト参照)によれば、アドル・クリスティンという名前だそうです。
イース』シリーズは、「冒険稼業から引退したアドルが過去を振り返って書いた物語」という体であるため、どの作品も主人公はアドルです。
ただ、ヒロインは作品ごとに異なるという…

サラ
謎めいた雰囲気、謎めいた依頼をしてくる彼女はさぞや重要な人物なのだろうと思っていました。
しかし、何度かやり取りをするうちに忽然と姿を消してしまいます。
彼女は存在を消されたのでしょうか、それとも、どこかに身を隠しているだけなのでしょうか……
フードを被った魔導士風のグラフィックも好きだった(そして、本作では珍しかった)だけに、彼女がいなくなったのは寂しかったです。

レア
イースⅠ』で、街の片隅にいて、「銀のハーモニカを無くしたから探してきてほしい」という依頼を吹っかけてくる詩人として登場します。
また、ゲームを進めると、ダームの塔で幽閉されている状態の彼女に出会うなど、謎多い女性として描かれます。

フィーナ
神殿に囚われていた少女。
個人的には、『イースⅠ・Ⅱ』通してのヒロインは彼女なのではと思っています。
エンディングでのアドルとの会話やスタッフロールでアドルと踊っているシーンは「このゲームをやって本当によかったなぁ。」という気分にさせてくれました。


【ストーリー】
お使いをこなす過程でイースの本の各章を集める→実際にイースへ赴く→イースの謎に迫るという展開で物語は進んでいきます。
王道的なストーリー展開でしたが、元がPCソフトということもあり、当時の『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』あるいは『ゼルダの伝説』シリーズなどファミコンで人気を博していたRPGタイトルに比べ、男女の心情の機微など10代後半以降のプレイヤーに共感を呼びそうなキャラクター同士の絡みがより深く描かれているような気がしました。

構成をざっくりというと、『Ⅰ』で様々なネタ振りが行われ『Ⅱ』でそれを回収していっているような感じになっています。
オリジナルのPC88版はふたつの別々のソフトとして発売されましたが、これは容量の都合でふたつに分けられたらしく、ストーリーとしてはひとつのものなのだそうです。

ゲームをスタートさせると、冒頭、銀河万丈さんの語りで太古のイースにまつわる伝説が語られます。
その後、オープニングに続いて、ミネアの街に着いたアドルが占い師のサラに声をかけられるところから操作開始となります。
サラの話を聞いて、お使い的に冒険を進めるうちに、銀のハーモニカを求めるレアや神殿に囚われていた謎の少女フィーナと出会い、イースの本を集めることとなり、物語の核心に近づくアドル。
ダームの塔の頂上でダルク・ファクトと戦い、打ち破るまでが『Ⅰ』です。
ダルク・ファクトを倒し、6冊のイースの書を集めたアドルは不思議な光に包まれ、宙に浮かび上がります。
ここから『Ⅱ』がスタート。
気が付くと、リリアという女の子に介抱され、そこが伝説に謳われるイースの国であることを知るアドル。
これまたお使い的にダンジョンを攻略していく中で、徐々に古代イースの秘密に迫っていき、最後にはボスであるダームを倒し、諸悪の根源となる黒い真珠を破壊することとなります。
エンディングでは、平和が戻ったイースエステリア、少女から女神に戻っていくレアとフィーナが印象的でした。


【音楽】
本作をプレイしようと思ったきっかけのひとつに音楽があります。
元々、本作の草原で流れるFirst Step Towards Warを聴いて、「いい音楽だなぁ。」とは思っていたので、どのような音楽が聴けるのかは楽しみにしていました。
実のところ、プレイし始めてすぐの段階では、「音楽自体は全然悪くないんだけども、RPGの音楽にしてはちょっと騒がしすぎないか。」と感じていました。
おそらく、私自身が触れてきたRPG作品の影響で、「こういうシーンではこういう音楽が流れる」という思い込みの元にゲームをプレイしていたからだと思います。
私の中では、ダンジョンでは薄気味悪く恐怖を与えるような音楽、街ではアップテンポな音楽といった型が出来上がっており、それに照らし合わせた時に違和感を覚えたに相違ありません。
本作であれば、ダンジョンではそれなりに激しい音楽流れるのですが、それは「薄気味悪いダンジョン、そこに果敢に立ち向かうアドルの様子を描いている」と解釈できますし、街での(特に『Ⅱ』での)心が安らぐような音楽は「街は心安らか憩う場所」ということを表しているように感じます。
そのように理解して以降は、「このゲームにはこの音楽しかない」と思えるようになりました。

特に印象に残った曲は以下です。

The Syonin
Syoninはおそらく「商人」でしょう。
その名の通り、『Ⅰ』ショップで買い物をするときに流れる曲です。
上述の通り、「街はアップテンポで明るい曲」と思い込んでいたので、プレイ当初から明るくて、活気のある様が伝わってきて好きな曲です。

First Step Towards War
ミネアの街を出て流れるフィールド曲です。
勇ましい感じが伝わってきて、「さぁ、冒険へ向かうぞ!」という心持ちにさせてくれます。

Palace
神殿で流れる音楽。
この『イースⅠ・Ⅱ』では、水が滴るような「ピチャン」という音が組み込まれており、神殿の静謐な神聖さがオリジナルよりも増しているような気がしました。

Tower of the Shadow of Death
ダームの塔で流れる曲。
このダンジョンではかなりの時間を過ごすことになるので、何度となく聴いた曲です。
何度も聴く中で、多少聴き疲れた曲でもあります。

To Make the End of Battle
『Ⅱ』のオープニング曲。
このオープニングをPC88版でもPCE版でもいいので、リアルタイムで見た人の衝撃はいかほどだったのでしょうか。
新たな冒険の舞台へ赴くアドルやプレイヤーの心境に寄り添った気分の昂る曲だと思います。

Tender People
最終ダンジョン直前のラミアの村で流れる曲。
氷の世界と炎の世界を潜り抜けてきたプレイヤーにとってはホッとできると同時に、最終ダンジョンであるサルモン神殿の神聖さも伝わってくる、そんな音楽になっていると思います。

Palace of Salmon
その名の通り、サルモン神殿で流れる曲。
かなりあっちへ行ったりこっちへ行ったりを強いられるので、つくりになっているので、これもダームの塔のTower of the Shadow of Deathと同じく、少々聴き疲れてしまう曲です。
ただ、その曲調からは程よい緊張感と前へ進んでいこうとするアドルの姿を感じることができます。

See You Again
エンディングでスタッフロールとともに流れる曲。
元々は『イースⅠ』のエンディングだった曲を、『イースⅠ・Ⅱ』のエンディング曲として採用しています。
アドルとフィーナが一緒に踊っているのが本当に微笑ましいです。
イースⅠ』のエンディング曲が採用されていて、フィーナが踊っているということはやっぱり本作のメインヒロインはフィーナなんじゃないでしょうか……
「また会おう」という曲のタイトル的にも、フィーナもしくはレアの曲だなぁという感じがします。

『モチ上ガール』プレイ感想

ステージ、キャラクター、音楽などを高校生の作者がひとりで作り上げ、数々の賞を受賞したワイヤーアクションプラットフォームゲームのプレイ感想。
プレイ時間は、約5時間。
プレイ環境はNintendo Switchです。

【全体的な感想】
2020年最初にクリアした作品です。
本作をプレイした動機ですが、「今までにあまり触れてこなかったジャンルやシリーズに手を出してみよう。」という観点でゲームを眺めていて、「あ、これなら楽しく遊べそうだ。」と感じたのがきっかけです。
本作はワイヤーアクションが主体のプラットフォームゲームです。
こういったジャンルのゲームは、それほど得意ともいえるレベルではなかったため、長らく遠ざかっていましたが、後に述べるようにシンプルな操作性と耳触りの良い音楽に惹かれて本作を購入・プレイしました。

プレイした感想ですが、シンプルながらもアクションゲームらしいテンポのよさが要求される操作、ゲームとマッチした音楽、ゆるくて可愛いキャラクターが印象に残りました。
「優しいがやりこむ余地の大きいゲーム」といったところでしょうか。

やっていて匙を投げたくなるような難易度のステージはありませんでしたし(ボス攻略後のオマケステージは除く)、アクションゲームをクリアするのに必要なトライアンドエラーを比較的易しいレベルで提示してくれるゲームなのかなと思います。
久しぶりにプレイしたアクションゲームとしては「当たり」だったと思います。

本作はゲームのプログラミングの他、キャラクターや音楽を含め、高校生の作者がほぼひとりで作成したとのことで、そういった意味でも素敵な作品だなと感じました。

【システム】
まず注目すべきは、その操作性についてではないかと思います。
上述の通り、本作はワイヤーアクションを主体としたアクションゲームですが、その操作性については驚くほどシンプルだと感じました。
プレイ中にするのはスティックキーとAボタンのみ。
Aボタンでジャンプし、ジャンプ中にさらにAを押すことでワイヤーとなる餅を繰り出すことができます。
スティックキーは、その餅を繰り出す方向のほか、自キャラを動かすために使用します。
これ以外、ゲームプレイ中に触るボタンはありませんでした。
アクションゲームは、おおよそシンプルな操作のゲームが多いですが、UIやメニューが複雑な場合や、どんなにシンプルな(例えば、FCの)ゲームであっても、ボタンは複数使用する場合が多いのではないかと思います。
操作がAボタンとスティックのみでできるということは、反対に言うとパワーアップアイテムやそれを使用するメニュー画面のようなものはないということになります。
取得物としては、唯一、収集要素として、各コースにみっつずつ、様々な見た目の「お寿司」が配置されています。
これも、どんな「お寿司」を取得したのかを確認する画面はありません。
取得時にキャラクターと「お寿司」がアップで映るので、「見て楽しんでくださいね。」といったところでしょうか。

ゲームは縦横にスクロールするステージをワイヤーとなる餅を使って進んでいくプラットフォームアクションです。
操作はシンプルながらも、タイミングやスティックのちょっとしたズレでミスしたり、ステージクリア時間が伸びたりと、決して簡単とは言い切れないゲームでした。

アクションでありながら、時間切れ、ゲームオーバーや残機の概念がないのは新鮮でした。
足場から落ちたとしても、その足場から再開できます。
ゲーム内の時間は減っていくのではなく、増えていくカウントがされ、おそらくタイムアタックを意識したつくりになっています。
ですので、ミスによるペナルティらしいペナルティといえば、クリア時間が延びるくらいしか見当たらないと思います。

タイムアタックについてですが、ボスステージは比較的攻略法が見つけやすかったため、何度かチャレンジしてみました。
やりやすいステージは頑張れば数十秒でクリアできるので、「次はもっと早く!!」というようにやる気が湧いてきて同じステージを何度も連続でトライもしました。

本作はスタッフロール中にもある操作ができます。
スタッフロールはタイトル画面から任意に見ることもできますし、ボス撃破後のエンディングとして見ることにもなります。
その際、Aボタンを押すと、ユキが様々なところから飛び出してきて、可愛らしくしゃべります。

【キャラクター】
ゲームをプレイする中では、特に登場人物について触れられることはありません。
ボスキャラとの戦いにおいても、特に会話を交わすことなく突入します。
キャラクターは敵も味方も低い頭身で描かれ、少しゆるーい雰囲気を醸し出しています。
公式の情報によれば、主人公の女の子は「ユキ」という名前で、年越しうどんの「ムギ」はライバルのようです。
本作はあくまでも、プラットフォームアクションゲームなので、キャラクターをしゃべらせたりして、深い個性を与えなかったのはある意味で正解なのかもしれません。
キャラクターがゲームの雰囲気を作っているというよりも、あくまでもワイヤーアクションを支えるためにゲームに寄りそっている、そんな印象を受けました。
アクションゲームでも、ヒントやお助け目的など、何かしら発話するキャラクターは多いですが、本作はそうしたキャラクターのおしゃべりがなくても、充分魅力的な作品に仕上がっています。
また、その点から、ノーヒントでもクリアができるようにうまくデザインされたゲーム、ということもできるのではないでしょうか。

印象に残ったキャラクター、というほどでもないのですが、主に「ミサイルバ」のステージに登場する敵キャラで魚の形をしたものがいます。
このキャラクターは、掴んで壁に投げて当たると爆発し、壁が壊せるのですが、なかなか思った方向に投げられなかったり、誘導が難しかったりと厄介な存在でした。

【ストーリー】
ストーリーらしいストーリーは特段ないのかな、というのがぼくの印象です。
少なくともゲームを進める過程において、プロローグ、エピローグ、イントロダクションに相当するものはありませんでした。
プレイヤー側が「なぜユキは旅に出たのだろうか。」などと想像してみる楽しさが残されているということができるかもしれません。
ですので、ここではゲームの世界観に少し触れておこうかと思います。
作者が徳島の出身ということもあり、登場するキャラクターやステージは徳島県やその周辺(香川県和歌山県)をモチーフにしたものが多く登場します。
橋や山などはアクションゲームのステージとして親和性も高くて、いい雰囲気だなと感じました。

【音楽】
聴き心地のよい音楽は本作の素晴らしい点のひとつだと思います。
特にPVで流れていた「海峡大橋水直下」はゲームの購入を決めた要因のひとつです。
軽快なアクションゲームの楽曲ですので、どの曲もそれにあったリズミカルなものに仕上がっています。
本作の楽曲はゲームの公式ページからもアクセスできる通り、作者自身がsoundcloudにアップされています。

以下、印象に残った曲です。

MoriAGirl
もりあがーる。
一面の曲で、文字通り、ゲームに触れたプレイヤーを盛り上げていく曲です。
『東方』シリーズに登場しそうな楽曲だなぁという印象を受けました。

AttractiveBattleCode
ボス戦の曲です。
このボスは上手くタイミングが掴めるとガンガン攻めることができたので、何度もタイムアタックをしました。
ですので、冒頭部分がとても記憶に残っている曲です。

海峡大橋水直下
上でも述べた、PVで使われていた曲です。
印象に残った人が多いのか、この曲はsoundcloudでも「MoriAGirl」に次いで再生されています。
「MoriAGirl」はリストの一曲目であり、ページを開いた瞬間に再生される曲なので、実際には「海峡大橋水直下」の再生数の方が多いのかもしれません。
水の上を跳ぶように進んでいくステージ構成とこの楽曲はよくマッチしていると思いました。

もちもちうどんバトル
ラスボス戦の曲です。
ボス戦、かなり苦戦しました。
腕に自信のある人なら問題ないのかもしれませんが、私の場合、運よく勝てたといってもいいかもしれません。
かなりの回数聴いた(聴くことになった)曲です。

『幻影異聞録♯FE』プレイ感想

ファイアーエムブレム』シリーズ25周年の年にリリースされた、『ファイアーエムブレム』と『メガテン』『ペルソナ』のアトラスが融合したJRPGのプレイ感想。
プレイ時間は、約100時間。
プレイ環境はWii Uです。

【全体的な感想】
本作を一言で言うなれば「異色のコラボが生み出した王道JRPG」「ストーリーやキャラクターによってではなく、システムでとてつもなく面白くなるJRPG」ではないでしょうか。
本作との出会いについてですが、2019年の夏に『ファイアーエムブレム暗黒竜と光の剣』に手を出して以来、シリーズ作品のことを調べていく過程で本作のことも当然聞き及んでいました。
「まずはFE原作を。」ということで、スピンオフにあたる本作は後回しにしていました。
そこに9月のNintendo DirectでのSwitch版リリースの報が入りました。
この時は「なるほど、Switchでできるのか、それなら、Wii Uのは買わなくていいな。」と思いました。
その後、任天堂から出た情報により、どうやら、Wii U版とSwitch版には大なり小なりの差異があるということが分かりました。
「それならそれで、どちらもやってみよう。」
そう思って11月上旬に本作を購入しました。

プレイにあたって不安がなかったわけではありません。
私がアトラスの作品を未プレイだという点がひとつと、「今どきの若者たち」、それも芸能界で活躍する人々が主人公ということで、かなりキラキラしたものを感じていました。
「こんなキラキラしたゲーム、楽しめるかな。」
というのが、プレイ前の率直な想いでした。
実際にプレイを始めると、序章の中盤あたりまでは、ゲームゲームした展開や演出に、ちょっぴり苦笑いした時もありましたが、ゲームの世界観に入り切ってしまうと(私の場合は、魅力的なキャラクターの存在がそのきっかけでした)、飽きることなくプレイでき、そのままエンディングを迎えられたようなそんな感じのゲームでした。

FEとアトラスの割合ですが、「FE:アトラス=3:7」だというのが主観です。
本作はSRPGではないので、その時点で「FEらしさ」の大部分は失われてしまうのかなと思います。

さて、感想なのですが、要素ごとの感想は後に譲るとして、全体的には「キャラ、音楽、そしてシステム面で色々な要素を盛り込みつつもキレイにまとまった作品」という印象です(その分ストーリーの起伏や盛り込みは少なかったように思いますが)。
それ以外の言葉で言うのであれば、「Wii Uを持っている人、プレイするか否かを迷っている人、FE・アトラス・JRPG・登場する楽曲のいずれかが好きな人はプレイして損はない作品」ではないでしょうか。

【システム】
様々なシステムが盛り込まれていて、よくこれだけのシステムを盛り込んだなと思えるくらいのボリュームでした。

本作はさまざまなパートの組み合わせで成り立っていて、それらの要素ごとに分解してそれぞれのシステムについて感想を述べていこうと思います。
本作には大きく以下のパートやシステムがあったという認識です。

メインストーリー攻略
 →イドラスフィア攻略

サイドストーリー攻略
 →キャラクター別

リクエスト攻略

ユニティシステム
 →カルネージユニティ
 →レディアントユニティ
 →クラスチェンジ

バトルシステム
 →セッションシステム
 →その他

・メインストーリー攻略→イドラスフィア攻略
本作のメインストーリーでは、各章毎にイドラスフィアと呼ばれるダンジョンを攻略して、ボスを撃破するのが、プレイヤーの大きな目的となります。
各イドラスフィアとも、空間的にはそれほど広くはありませんが、パズル的なギミックがいくつかあり、いい感じに攻略に手間取るようにできています。
このあたりはひょっとしたら「ゼルダ的」と言えるかもしれません。
未プレイですが、アトラス作品のダンジョンもひょっとしたらこんな感じなのかもしれませんね。
このイドラスフィア、最初に訪れた段階では入ることのできないエリアがあります。
後々、そこを攻略することになるのですが、初見時に「いつかは入れるようになるのかな?」と思わせて、プレイヤーの興味を持続させるという意味でも、また、東京の街をモデルにしたマップに無数のダンジョンが乱立するのを避けるという意味でも、上手くできたシステムだなと思いました。
ダンジョンマップはWii UのGamePad上に表示されます。
マップを見ないと攻略が難しいイドラスフィアもありますが、GamePadという別画面に映すというのは、モニター上のプレイ画面をすっきりさせるいい工夫だと思いました。
イドラスフィア内には、宝箱がありますが、アイテムによっては「宝の鍵」を使わないといけない宝箱がある点はちょっと「FE的」でニヤリとしました。

・サイドストーリー攻略→キャラクター別
主人公を除くメインキャラクター9人にはサイドストーリーが3回ずつ用意されています。
そのうち、プレイアブルでない3人のキャラクターはメインストーリーの進行度合いによって、プレイアブルな6人はそれに加えて、戦闘でレベルアップするステージランクに応じてサイドストーリーを開始できます。
サイドストーリーの開始可能時期は、各キャラクターから、情報端末にメッセージが飛んでくることによって明らかになります。
Wii UのGamePadがまさにその情報端末のような扱いになっていて、最初はいちいち、タッチペンで画面を操作するのが面倒でしたが、そのうち、各キャラクターと本当にメッセージをやり取りしているような感覚になり、プレイヤーをゲームの世界に没入させる装置としての役割も果たしているのかなと感じました。
サイドストーリーは各キャラクターからのお願いを叶えることで達成できます。
選択肢に注意して話を聞くだけの場合もあれば、ボスクラスの敵を撃破する必要のあるお願いもあります。
このサイドストーリーを通して、各キャラクターの内面を描き、主人公との親密度が高まり、エンディングへの変化がもたらされます。
サイドストーリーそのものはよく言えば王道的な、悪く言えば陳腐な内容が多かったと思います。
ただ、奇をてらった内容でなくても楽しめたというのは事実です。
欲を言えば、FEライクに各キャラクターと個別に結ばれるエンディングはあってもいいのかなと思いました。
本作は主人公を中心にストーリー進められましたが、それ以外のキャラクター相互の絆のようなものも、もっともっと描かれても面白かったかもしれません。

・リクエスト攻略
メインストーリー及び関連するリクエストの攻略度合いに応じて発生します。
上述の「宝の鍵」といった有用なアイテムや、リクエスト攻略でしか入手できないアイテムがあるので、積極的にクリアしたかったのですが、メインストーリーやサイドストーリーを進めるとお腹いっぱいになってしまい、なかなか後手に回ってしまう感じでした。
リクエスト内容は、どこかに落ちている物を拾ってきたり、敵ミラージュ(モンスター)を倒したりといった様々なお使いです。
これに関連して登場するキャラクターたちも個性豊かだったと思います。

・ユニティシステム→カルネージユニティ
ユニティとは、本作のメインキャラクターのひとりで『暗黒竜』に登場するチキが行う、様々な補助です。
このユニティを行うには、イベントをこなしたり、敵ミラージュを倒したり、宝箱の中から入手したりする、特定のパフォーマと呼ばれるアイテムが必要になります。
うち、カルネージユニティは、いわゆる武器の錬成になります。
カルネージそのものは武器と同義ですが、装備して戦闘に参加すると、キャラクターの経験値とは別にカルネージ強化用の経験値も取得でき、一定値に達すると様々なスキルが覚えられます。
本作のスキルは覚えていられる個数に制限がありますが、一度強化し終えたカルネージを再度ユニティして強化しなおすこともでき、一度諦めたスキルを状況に応じてもう一度習得することができるのが、私のような「捨てたくても捨てられない」タイプの人間には合っていて面白いと感じました。
また、再強化でしか習得できないスキルもあるので、そういった意味でも再強化の意欲は湧くかと思います。

・ユニティシステム→レディアントユニティ
こちらはスキルそのものをユニティしてしまうというもの。
ここで作られるレディアントスキルは、HPの上昇など持っているだけで効果があるものが多く、一部は取得していないとメインストーリーの攻略が進められないものもあります。
また、このスキルは個数制限を気にすることなく取得できるので、なるべくなら全て集めておいた方がいいと思います。
ただ、大半が補助スキルなので、実感としては「このスキルのおかげで助かった!!」という印象を持つことは一部のスキルを除いて少なかったように思います。
それでも、宝箱の鍵が開けられる「鍵開け」のスキルはなるべく早くに取得しておきたかったなぁと感じています。
サイドストーリーでの途中で行うレディアントユニティがあるのですが、そちらはサイドストーリーの一環ということで、対象キャラクターとそのミラージュとの会話が見られます。
こちらはキャラクターやミラージュの内面を理解でき、またコミカルで面白いものが多いので、見ていて楽しかったですし、このゲームをプレイされる方ならぜひ見ていただければと思っている場面のひとつです。

・ユニティシステム→クラスチェンジ
ファイアーエムブレム』ファンにはお馴染みのシステムかと思います。
ファイアーエムブレム』シリーズでは、各種のステータス補正を目的として行われることが主ですが、本作のクラスチェンジはそれに加えて、それによってユニティできるカルネージを増やすという目的があります。
クラスチェンジ先は各ミラージュにふたつずつ用意されており、あるクラスにチェンジして、すぐさま別のクラスにチェンジしても全く問題はありません。
クラスチェンジにはこちらもシリーズお馴染みのマスタープルフが必要です。
ただ、一度でもクラスチェンジを行うと、下級職には戻れないので、その点だけは要注意でしょうか。
本作ではクラスに応じて、ミラージュの見た目も大きく変化しますので、ステータスやカルネージの補正をあまり気にしないのであれば、お気に入りの見た目で楽しむのもいいかもしれません。
クラスチェンジ後の初戦闘では、ミラージュとそのマスターとのちょっとした会話が聞けますので、そちらもぜひ。

・バトルシステム→セッションシステム
バトルにおけるセッションシステムは、個人的に本作で一番感心させられた点であり、「ターン制RPGでここまで面白いものが作れるのか。」あるいは「バトルによって面白くなるRPGもあるんだ。」というのが本作のバトルを経験しての感想です。

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詳細は動画(こちらはSwitch版『Encore』の宣伝動画になります)の通りですが、攻撃が続いていく様を眺めているのがただただ楽しかったです。
初めて「セッション→デュオ→セッション」と続いていくの見たときには思わず「え!?」と声が出ました。
このバトル体験は、本作で一番の見どころであり、ひょっとしたら、唯一無二の体験なのかもしれません。

・バトルシステム→その他
本作のバトルはコマンド式ですが、「味方キャラのコマンドを一斉に選択した後、「すばやさ」「はやさ」に応じて、敵味方が攻撃する」というパターンではなく、敵味方個別に攻撃順が回ってきて攻撃を繰り出します。
これも、画面上部に攻撃順が示されており、「攻撃順を遅らせる」という一部スキルにも、存在感がありました。
また、スキルについては、技名に全く馴染みのないプレイヤーでも、どういった属性のどういった効果のあるスキルなのかを、表示してくれるので、非常に助かりました。
親切な設計だったと思います。

【キャラクター】
キャラクターにセリフがあり、会話をする作品ですので、自然とキャラクターの存在感は強くなっていきました。
メインキャラクターのみならず、いわゆる「まちの人」や「モブキャラ」と呼ばれる人、リクエストでしか関わらない人にも、豊かな個性が与えられていると対話を通して感じました。
メインキャラクターは、人によっての好き嫌いは当然あるかとは思いますが、当時としては珍しい、非常に王道的な性格付けのされた、それでいて個性あふれる魅力的なキャラクターたちだったと思います。

これは個人的な希望というか欲になりなすが、これだけ魅力的なキャラクターたちが登場しているので、主人公の蒼井樹とだけでなく、その他のキャラクター相互に絡む場面ももう少し見たかったなと思いました。
これは、人間とミラージュとを問わずですね。
あとは、主人公とミラージュたちとのお別れのシーンが結構あっさりしていて、ちょっぴり拍子抜けした感じです。
ただ、「あぁ、これでこのゲームも終わっちゃうんだなぁ。」という印象を与えるという意味では、あれでよかったのかもしれません。

感想を書きたいキャラクターは沢山いますが、バトルでもメインに活躍するメンバーに絞りましょう。

蒼井樹
本作の主人公です。
まさに『ファイアーエムブレム』のロードにあたるキャラクターで、キャラメイクの際の「強すぎず、薄すぎず」の度合いが難しかったのではないかと、勝手に想像しています。
ゲーム開始時点で、プロポーション抜群の幼馴染や、芸能界に片足を突っ込んでいる親友がいるというだけでもすごいですが、その後どんどん周囲にはすごい人々が集まってきます。
それでも、そこはマイペースを地で行くロードなので、周囲に流されず、自分のやるべきことをきっちりやって、そのすごい人々も認めるメンバーの中心に成長していきます。
そして、宿敵との対決を経て、戦闘以外でもメンバーの中心になるエンディングには、ちょっと感動しました。
これはベタと言えばベタですが、現実世界だとなかなか難しいことだと思うので、ゲームならではの設定としてなかなか面白いなと思いました。
武器は剣、メインの属性攻撃は雷でしょうか。
ミラージュはクロム。
『覚醒』は未プレイですが、本作には軍師のルフレや子世代のルキナに相当するキャラクターがいないので、ロードらしいロード役ができたのかなと思います。
男気溢れるカッコいいミラージュでした。

織部つばさ
本作のメインヒロイン(だと勝手に思っています)。
蒼井樹のプロポーション抜群の幼馴染です。
購入当初、パッケージイラストを見るに、その表情から少し憂いのようなものを感じたので、「あー、この娘は真面目な女の子で、主人公と対立する場面もあるのかなぁ……」と思っていましたが……
実際には、最初から最後まで「イツキくん好き好き」オーラ全開で、アホの子タイプのキャラクターでした。
もっとも、真面目な性格というか何事にも真摯なのはその通りでしたが。
武器は槍、メインの属性攻撃は衝撃(風)でした。
あとは回復担当ですね。
ミラージュはシーダ
ペガサスナイトは『ファイアーエムブレム』のどの作品でも、ヒロイン感を出しているので、適役ではないと思いました。
わざとなのか素なのかはわかりませんが、ちょっとすっとぼけたような言動をするのも、原作のシーダらしさがあっていいなと思いました。
マルスとの絡みが全くなかったのが、唯一残念に思った点でした……

赤城斗馬
蒼井樹の親友で、フォルトナでのそして、ミラージュマスターとしての先輩です。
「親友」という言葉から「時に主人公と対立することもあるが、なんだかんだ心の底では通じ合っている」というキャラクター像を想像していましたが、全くそんなことはなく、最初から最後まで「親友キャラ」でした。
ここまで親友一直線なキャラクターはあまり見たことがないかもしれません。
見た目は今どきの若者らしいちょっぴり軽い感じですが、彼の様々なリアクションを見るに、実はフォルトナでは一番の常識人なのかもしれません。
武器は槍、メインの属性攻撃は火でした。
覚える補助系スキルはかなり有用ですが、このゲームの場合、そうした補助スキルのほとんどがアイテムで代用できてしまうので、起用する場合は高い攻撃力を活かしてガンガン攻撃してもらっていました。
ミラージュはカイン。
赤城斗馬のもうひとりの親友、そして兄貴といった感じで、時に斗馬と一緒に全力で突き進み、時にたしなめるような感じになったり、とマスターである斗馬のよきサポート役という印象を受けました。
アベルとの絡みがあったのは嬉しかったです。
ソシアルナイトの馬を二輪にしたのはいいアイデアだと思いました。

黒乃霧亜
フォルトナの先輩で実力のある歌手です。
彼女が一番、最初に思い描いていたキャラクター像と実際とでズレの少なかった人物です。
「かっこよくて、クールな人で通っているけど、実は可愛いものが好きだったり、本人も可愛くなりたいと思っていたり……」と、そんな感じの人物です。
武器は杖ですが、魔導士タイプなので、基本的には魔法攻撃ばかりでした。
メインの属性攻撃は氷でしょうか。
アドリブパフォーマンスの「迷路」は、プレイ中に何度も見ることになりました。
ミラージュはサーリャ。
『覚醒』未プレイなので、どんなキャラなのかなというところも含めて、新鮮でした。
思っていた以上にマイペースな感じのキャラクターという印象でした。
もうちょっとダークなイメージだったので。

弓弦エレオノーラ
埼玉県代表のハリウッド志望の女優。
サイドストーリーはなぜかデートばっかりでした。
あれだけ、デートしていてもデート感があまり漂っていなかったのが、すごいと言えばすごいかもしれません。
「気が強いけど、ちょっぴり寂しがり屋さん」という印象は最初から最後まであまり変わりませんでした。
サイドストーリーを全てクリアすると本当にハリウッドに行ってしまう展開になったのは、これもゲームながらすごいと感じました。
武器は弓で、メインの属性攻撃は雷だったでしょうか。
スペシャルパフォーマンスの「オール・デッド」が、特にワイルドエネミー攻略にはかなり有用な技だったのと、ペガサスナイトドラゴンナイトに特効があるのとで、ゲーム後半は特にお世話になりました。
ミラージュはヴィオール。
弓弦エレオノーラはヴィオールからアプローチしたキャラクターなのでしょうか。
口癖の「ハリウッド的」はヴィオールの「貴族的」から生まれたのかなという気が強くするので、そう感じました。
我が強い印象の彼女ですが、同じく個性的なヴィオールとの距離感は不思議とうまく取れていた気がします。

源まもり
肉弾戦のできる小学生。
「芸能界では主人公たちより先輩」という設定から、時には厳しいことも言う「小さなお姉さん」を想像していましたが、違っていました。
「思春期を迎えつつある大人しめの女の子」という感じでした。
サイドストーリーは「周りの言うことをきちんと聞くいい子」から「自分の主張をきちんと伝えられる子」に変わっていく過程が描かれていました。
個人的には、有用でありながら使いこなせなかったキャラクターです。
マーキングというスキルで彼女に敵の攻撃を集中させておいて、その間に攻撃するといった戦法は、「倒されるとイヤだなぁ。」という気持ちが強かったため、ボス戦でもあまり取りませんでした。
武器は斧で、メインの属性攻撃は氷でした。
ミラージュはドーガ。
ドーガについては、「あ、すごくいいキャラ選定とイメージ絵だな。」と感じました。
ドーガは、当然原作でのキャラクターイラストはありますが、私自身は「ドーガ=アーマーナイトという存在そのもの」と思っているので、「アーマーナイトならドーガ」という選択は非常にしっくりときました。
足がなく、ふわふわ浮かんでいる感じなのも、デカデカとした鎧の姿と絶妙にマッチしていていいなと感じました。

剣弥代
カリスマエンターテイナー(だったりそうでなかったり)。
黒乃霧亜に似たタイプの人物ですが、彼は彼女と違い、事前のイメージと実際のイメージの乖離が一番激しかった人物です。
もちろん、いい意味で。
剣弥代はストーリー途中までは敵対する場面もあり、実際に刃を交えるシーンもあります。
この段階では、キャラクターの性格というよりは、能力面について、「まぁ、こういう敵の時に強いキャラって、仲間になると弱くなるよね。」と漠然と想像していました。
そして、仲間になった時も、見た目に違わぬ折り目正しい「いいキャラ」だったので、「なるほど、こんな感じか。」と思っていましたが、サイドストーリーを進めてみると……
結果的には、フォルトナの一員として非常にいいキャラクターだったと思います。
そして、実際には、仲間になっても、それほど弱くなるということがなかったので、彼はかなりの場面で戦闘要員でした。
武器は剣で、メインの属性攻撃は雷だったような。
物理と魔法の違いはありますが、蒼井樹と似たような運用をしていました。
ただ、カウンターは非常に有用で、バトルにおいては「弥代といえばカウンター」というイメージでした。
ミラージュはナバール
これも、ヴィオールと同様に、ナバールから剣弥代のキャラクターを作ったのかなと思えるくらいに、ふたりは似ているところが多いなと感じました。

【ストーリー】
メインストーリーの大きな流れは、
1.「ある事件で失踪した、織部つばさの姉、綾羽を取り戻す。」

2.「フォルトナのメンバー、特に織部つばさが芸能人としてステップアップしていく。新たな事件が発生し、それを解決する過程で、仲間が増え、核心に近づく。蒼井樹とメンバーとの絆も深くなる。」

3.「綾羽の消失した事件や敵の黒幕の正体がわかり、対決する。」
となります。
最後の3が『暗黒竜』を下敷きにしたストーリーで、その時点で出てくるイドラスフィアも、どことなくそれを想起させる造りになっていました。
反対に言ってしまうと、1と2についてはそこまでFE感はないと感じました。
メインストーリーは、上記の通り「主人公が、紆余曲折を経て、悪と対決する」という王道そのもので、あまりそれ以外の要素はなかったと思います。

サイドストーリーは、上述の通り、主人公が他のメインキャラクターの悩みや注文に応える中で、そのキャラのことを深く理解し、主人公との親睦を深めていくものでした。
これも「まさか、そんなことが!!」というような裏をかくようなお話ではありませんでした。
ただ、メインストーリーや前段階のサイドストーリーで少し触れた内容を汲み取って伏線回収をするようなサイドストーリーがあり、そちらは王道的ながらも「ああ、なるほどね。」と納得させられるものが多く、その点はキレイにまとまっていたと思いました。

既に上述の通りですが、「こういうシーンが欲しかったなぁ」というところを挙げるとすれば、ゲームボリュームの関係もあるのでしょうが、キャラクター相互の絡み(主人公以外との)でしょうか。
登場人物たちはかなりいい味を出していると思うので、主人公以外とのフォルトナメンバー相互の絆や日常などももっとあっても良かったと思います。
また、人間キャラ同士もそうですが、ミラージュ同士の掛け合いなんかも、沢山あれば面白かったかなと思います。

【音楽】
登場する歌唱曲については様々なところで触れられているので、それについてはここでは「いい曲ぞろいなので実際に聴いてみてください!」というに留めたいと思います。
歌以外のゲーム音楽に関しては、特に、私のように、現代世界がモチーフのRPGをプレイしたことがない人間にとって驚きだった点があります。
それは「使われている音の目指す方向が現代の若者の音でありながら、何度聴いても飽きがこない音だった」ということです。
RPGの音楽はフィールドの曲やまちの曲、戦闘の曲など、プレイ中にひとつの楽曲を何度も耳にすることがあるため、飽きないようにクラシック音楽的な音作りをされる場合が多いようです。
「王道RPG」によくある中世ヨーロッパ的な世界観、あるいは現代や未来、SFでも壮大なオーケストラでの演奏が似合う世界観の作品であれば、そのような「あ、クラシックを意識しているんだな」という音作りがプレイヤーからも見えやすいかと思います。
しかし、本作は「現代日本が舞台で、そこの若者が主役の作品」であり、聞こえてくる音からは「クラシック音楽的な音作り」を全く感じさせないにも関わらず、飽きずにむしろ耳に残る(もちろんいい意味で)音だったと思います。
音が現代的なだけで、楽曲はクラシックに則った作りなのかもしれませんが、それにしても、そうした音作りができているというのは、登場する歌唱曲と同程度には注目されてもいいのかなと感じました。

『幻影異聞録#FE』プレイ日記 80時間

タイトルの通り、『幻影異聞録#FE』を約80時間プレイしてみての感想です。
第6章の序盤まで進めました。
プレイ環境はWii Uです。

【全体的な感想】
この時点で、2019年にプレイしたゲームの中で『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』に次いで、プレイ時間の長いゲームとなりました。
4章ボス撃破時に手に入れたアイテムが「竜石の欠片」だと判明したことから、一気に動き出したファイアーエムブレム的展開を主軸に話が進みました。
正直、ストーリー的なある程度のオチやそこへの展開もある程度は知っているのですが、それでも「それを自分の目で見たい!」と思いながらプレイしているので、飽きを感じたことはこれまでのところありません。
5章ではマップに描かれた東京全域を巻き込んだ芸能イベント・エンタキングダムが開かれる中、その中で物語の核心へと迫っていくことになります。
過去に探索したイドラスフィアの、まだ踏破していない場所を探索させるというデザインは、新しいダンジョンを作るのを目的としてマップを不用意に広大にさせるのを防ぐためにはいい手段だと思いました。

【システム】
樹とつばさのデュオアーツが解放されましたが、結構唐突だったので、驚きました。
おそらく、「サイドストーリーをクリアする」と「選択肢に気を付ける」の二点がキーになっているのだと思います。

カルネージの強化についてですが、トロコン目的で「+1」のカルネージを作成しようとしたところ、ランダムで更に威力を高めることができるイベントが発生して、驚きました。
細かいところまできっちり作ってあるなぁ、という印象です。

カルネージ再強化の過程で、過去に覚えたスキルを再度伝授されますが、既に上位スキルを覚えていたりする場合は、ミラージュからのメッセージで、そのスキルを覚える必要がない旨が伝えられ、感動しました。
そういった場合、ビープ音での不可能であることを示唆したり、システム的なメッセージで教えてくれるものと考えていたからです。

セッションの継続についてですが、セッション→デュオアーツ→セッションとなるのは、「まぁ、そうなるだろうな。」と思っていたのですが、ここからさらに、セッション→デュオアーツ→セッション→デュオアーツ→セッションという流れは予想できなかったので、びっくりしました。
ここまで続いたということはもっともっと続く可能性も残されているのでは、と期待してしまいます。
これまで続いたセッションは上記の方法で最大18回になりました。

【キャラクター】
今回も個別に気になったキャラクターを。

蒼井樹
各キャラクターのサイドストーリーを最終までクリアする過程ですっかりロードっぽくなってしまいました。
カインが斗馬に「英雄とはなろうとしてなるものではない」みたいなことを言っていたような気がしますが、樹の場合、まさに知らず知らずのうちに、ここまで来たようなそんな気がします。
剣タイプのアドリブパフォーマンスの「揺るぎなき決意」の演出は、ベタながらも込み上げてくるものがありました。

織部つばさ
初めて「主演女優賞」を獲得しました。
一番乗りだったのは「レディアントスキルをマスターする順番が最初だったから」という身も蓋もない理由になるかと思いますが、特殊なパフォーマが必要になるスキルが各キャラいくつか存在するため、おそらく、この段階だと多くのプレイヤーがつばさのみが「主演女優賞」だったのかなと思います。

チキ
最後のサイドストーリーにて、ボス撃破後のイベントは感動しました。
チキ役の諸星すみれさんは本作で『Beastie Game』と『幻じゃない世界』を歌ってらっしゃいますが、前者は「ウタロイドTIKi」としていわゆるボカロ調にアレンジされた曲なのですが、後者は普通に人間が歌ったような曲に仕上がっています。
その謎が、このサイドストーリーをプレイして初めて解けました。
これまで「あぁ、いいよなぁ、こういう話。」という、ほっこりしたりニヤニヤしたりするサイドストーリーは多くありましたが、感動したのは初めてだったので、このゲームの奥深さの一端を垣間見た気持ちです。

剣弥代
最後に加わったメンバーだけにまだまだ色々な面が出てくる人物です。
戦闘中にメンバーを「交代」させたときに、それぞれのキャラクターに応じたセリフを発しますが「このオレが降板だと!?」には笑いました。
いずれにしても、すっかりフォルトナの一員といった感じです。
後述する残りのサイドストーリーも楽しみです。

【ストーリー】
メインストーリーは「ガーネフを止めよう!!」「暗黒竜を復活させないようにするには?」という展開で進められます。
あまりに王道的といえば王道的ですが、本作ではガーネフもミラージュであり、もちろん芸能関係者に憑りついています。
私は、その芸能関係者は「仕方なく憑りつかれた」のだと思っていたので、「自らの意志でガーネフと組んだ」と知り、まさにガーネフらしさがあっていいなと思いました。
黒竜復活を阻止するために、樹たちは「光の戯曲 ファイアーエムブレム」なるものを演じることになるのですが、実のところ、「ファイアーエムブレム」というものがここまでクローズアップされる作品は、『ファイアーエムブレム』シリーズでもそれほど数が多くはないと感じているので、『暗黒竜』が最初に触れたFEだった自分には嬉しい限りです。
サイドストーリーは上述の通り、チキのラストストーリーを終わらせて、残すところ剣弥代のストーリーのみとなっています。
冒頭と話の端々によく出てくる弥代のお父さん、剣親臣に関するものと理解していますが、どのような展開を見せるのかは全く読めません。
楽しみです。

【音楽】
チキの『幻じゃない世界』は上述の通り、とても感動しました。
あとは、デュオアーツ「フォーリンスター」で流れる『Feel』でしょうか。
この曲、最初は1章の終わりでつばさの姉である彩羽を救うために登場します。
その歌詞からは姉、そして、ミラージュであるシーダに対する想いが感じ取れますが、ここに至って、つばさの樹に対する想いも感じることができて、本当にいい曲だなと思いました。
まもりの『雨音のメモリー』もそうですが、特に、序盤で使われたこの曲が終盤になって再度使われるのも演出上、上手いと思いました。

『幻影異聞録#FE』プレイ日記 60時間

タイトルの通り、『幻影異聞録#FE』を約60時間プレイしてみての感想です。
第5章の序盤まで進めました。
プレイ環境はWii Uです。

【全体的な感想】
3章終了後のインターミッションでロレンスを撃破するためにレベル上げをしっかり行ったためか、割合楽にゲームを進めることができました。
ただ、メインストーリーの進行に伴い、挑戦できるサイドストーリーやリクエストが増えてきたので、それをクリアしていくのに相変わらず時間はかかっています。
メインストーリーの攻略ですが、4章のダンジョンも「毎回ランダムで変わる順番通りに部屋に入らないと入り口まで戻される仕掛け」と「部屋の各所に設置されたスイッチを押して通路を作る仕掛け」という2つの凝ったギミック(しかし、わかりやすい)があって、面白く進めることができました。
ストーリーは、後で述べるように4章のボス撃破までは依然「織部つばさの成長物語」ですが、そこからはファイアーエムブレムらしさが一気に増しました。
サイドストーリーも各キャラ分進めることで、よりメインストーリーに深みが出て、蒼井樹を中心とするキャラクター同士の一体感も出てきたように感じます。

【システム】
4章クリア後のインターミッション期間中にサイドストーリーを進めたことで、続々とデュオアーツが解放されました。
セッションもそうですが、戦闘がとても楽しくなる仕掛けで見ていて飽きないです。
セッションについていえば、セッションスキルも上級のものが集まり始め、下級スキルのときと演出が異なっていることに驚きました。

また、クラスチェンジもこのプレイ時間中に初めて行いました。
本作のクラスチェンジは、ファイアーエムブレムシリーズにおける「ステータス補正や特別な能力を得るため」に行われるものというよりは「作成できるカルネージ(武器)の種類を増やすため」に行われるものという印象が強いのかなと思いました。
一度、クラスチェンジしておけば、新たにできるカルネージが解放されるので、それが終われば、すぐにクラスチェンジすることもできます。
クラスチェンジに使用するマスタープルフ自体は、一応、無制限に手に入るようなので、ミスしてもあまり気にする必要はないみたいです。
ただ、もともとのクラスに戻すことはできないようです。

幻想ウラハラにある闘技場にも初めて参加しました。
レベル上げというよりは、シャーレの獲得や、セッションでSPを回復させるために使っています。

本作ではプレイレコードとアワードという形でトロフィーを集めていくのですが、周回プレイが必要なものは除いて、少しずつこちらのコンプリートも意識し出しました。
攻略情報を参考にしないとコンプリートが難しいものも沢山ありました。
レコードの名前もクスッとするものが多いです。
ゲーム内での時間経過やカメラワークで判定されるものもあったのには驚きました。

戦闘についてですが、ちょっとしたテクニックがあって、「速さの高いキャラクターをメインキャストにし、戦闘開始時に交代することで、早さの低いキャラクターでも敵よりも早い順番で攻撃できる可能性が高くなる」というものです。
ボス戦などではかなり重宝する技だと思います。

ボス戦についてですが、スペシャルパフォーマンスも上手く使っていかないと難しい戦闘が多くなりました。
「モデルポーズ」や「パステルアワー」のような、こちらの行動回数を増やせる技は本当に重宝します。

【キャラクター】
今回も個別に気になったキャラクターを。

剣弥代
ついに仲間になりました。
仲間になった時の会話や5章冒頭の蒼井樹が新たなパフォーマを得るシーンで「あぁ、いいやつだなぁ。」と思いましたが、その後、彼の初めてのサイドストーリーを進めて「あ、こいつは相当に変なやつだ!!」と色めき立ちました。
ただの「いいやつ」よりは「変なやつ」の方が思い入れが湧いていいですね。
その「変なやつ」加減も、いわゆる「残念なイケメン」ではなく「イケメン」をキープしている絶妙なラインなのが、また素晴らしいと思いました。
ミラージュがナバールということで、「ご存知」とか「あの」が付く「その剣で私を好きなようにして」に関連するセリフがどこで出るのか楽しみにしていましたが、まさか本人から出るとは……
シーダのマスターである織部つばさの口から出るものとばかり思っていました。

チキ
ゲーム序盤からいるサポートキャラクターですが、彼女が少し記憶を取り戻したことによって、ストーリーが大きく動き出しました。
源まもりとのデュオアーツで、戦闘に参加してくれたのは嬉しかったです。

ガーネフ
ファイアーエムブレムシリーズのファンであれば、こちらも「ご存知」とか「あの」とかを付けていい人だと思います。
はっきりとした存在としてはまだ描かれていませんが、本作ではミラージュ騒動の一連の親玉として登場します。

【ストーリー】
メインストーリーは依然「ミラージュに憑りつかれた芸能関係者を救い、その過程で織部つばさが成長する」というものを軸としています。
ただ、4章のボス撃破時に「竜石の欠片」というアイテムを入手したことで、暗黒竜とその復活のための儀式・暗黒戯曲、そして、暗躍するガーネフという様々なキーワードが登場します。

サイドストーリーは各キャラクターともに、終わりが見えてきました。
最終となる3回目のサイドストーリーはキャラクター個人の芸能人としてのレベルアップにフォーカスしつつも、蒼井樹との絆を描くことにこれまでより力点が置かれているように感じました。
マスターとなっているミラージュとの掛け合いも心温まるものが多かったです。

【音楽】
デュオアーツが解放されたことで様々な音楽も作中に登場することとなりました。
既にCDで聴いている曲がほとんどなのですが、作中で初めて登場するとやはり感動します。
今回初出の楽曲ではありませんが、剣弥代の『BLACK RAIN』は最初に聴いた時から、「歌いにくい曲だなぁ。」という印象でしたが、裏拍だからだと分かりました。

【Switch版はどこが変わるのか】
ゲームプレイを進めて、再び、「Switch版はどこが変わるのか」を考えてみました。
主人公たちの所属する芸能事務所フォルトナエンタテイメントの社長である志摩崎舞子は2章で描かれる通り元グラビアアイドルという設定です。
2章をプレイした段階では「なるほどなぁ。」という程度でしたが、彼女のサイドストーリーもまた「元グラビアアイドル」という設定がかなり色濃く反映されています。
もし、Switch版が「水着グラビア」というものを扱う度合いが変わるとすれば、ある程度この部分も変更されてしまうのかなと思います。
そして、以前述べた通りですが、その変更によって、ストーリーへの没入度合いが低くならないことを祈るばかりです。

『幻影異聞録#FE』プレイ日記 40時間

色々あって、少し日にちが開きました。
タイトルの通り、『幻影異聞録#FE』を約40時間プレイしてみての感想です。
第4章の序盤まで進めました。
プレイ環境はWii Uです。

【全体的な感想】
敵が強くなってきたこともあり、プレイにかけた時間に対する進行度合いがゆっくりになってきた気がします。
これはすべてクリアするまでに100時間を超えてしまうのでしょうか……
メインストーリーはそれほどでもなかったのですが、キャラクターのサイドストーリーで強敵出現といった感じで何度もやられてしまい、レベル上げ、武器レベル上げを行ったのが原因だと思います。
3章はテレビ局の舞台セットがイドラスフィア(ダンジョン)なのですが、敵(?)ミラージュから「お願い」をされてダンジョン内を駆けずり回るというのが、おつかいゲーなんだけれども楽しかったです。
あとは、メインストーリーやサイドストーリーといったメインキャラにフォーカスしたプレイに少し疲れたので、リクエスト(いわゆるクエスト)の攻略を進めていました。
最近知ったのですが、リクエスト中にイドラスフィアでのミラージュ討伐のようなものがある場合、敵の居場所が地図とともにGamePadに表示されるんですね。
なので、やたらめったら歩き回るということも、反対にただ指示されたことをやる「おつかい」ということもなく、適度な難易度だったと思います。
こちらの方の敵ミラージュはそれほど強くはありませんでした。
4章は別のテレビ局の局内そのものがイドラスフィアになっています。
まだ序盤ですが、ランダムに目的地が変わるので、ここに関しては攻略サイトの地図を見ないのであれば、おそらくGamePadに表示される地図を見なければ攻略できないものと思います。

【システム】
先述の通り、通常にプレイする場合、このあたりからはGamePadを地図として使わざるを得ない設計になっています。
しかし、もうプレイヤーもゲームに慣れてきたであろう、4章なのでそれほど違和感はないのではないかと思います。
あとは、クラスチェンジというファイアーエムブレムではお馴染みの強化システムも解放されました。
マスタープルフを入手して、クラスチェンジ。
各ミラージュ、オーソドックスなものとクセのあるものと、ふたつのクラスチェンジ先があるようです。
システムに関わるかどうかはわかりませんが、チキの新しい衣装も手に入りました。
原宿のANZUというブティックでは、コレクター要素以外には(今のところ)意味がないキャラクターの替え衣装を売っているのですが、そこでのくじ引きの景品もこれまた、作中で登場したポスターなどコレクター要素なのです。
その隠しとして、チキの衣装がありました。
原宿といえば、闘技場がありますが、まだ挑戦していません。
ただ、闘技場主からは「ヒマなミラージュを連れてきてほしい」と頼まれるので、それだけは進めています。
チキといえば、カルネージ(武器)の再強化もできるようになりました。
一度、マスターレベルまで上げた武器を再度使用して、技レベルを強化したりもできるようです。

【キャラクター】
メインやサイドではないリクエストを進めていると、やっつけネーミングでありながらも、きちんと固有の名前を持たされたキャラクターが多く登場するので、愛のある作品だなぁという感じがします。

その他、個別に気になったキャラクターを。

キャス
原宿のANZUの店員さんです。
名前だけだと「誰?」と思う方もいるかもしれません。
封印の剣』のキャラクターらしく、最初は私もファイアーエムブレムのキャラだと分かりませんでした。

源まもり
3章終了時に仲間になるメインキャラクターです。
名前が「まもり」で、ミラージュはドーガ(アーマーナイト)。
アーマーナイトと11歳の少女というのが、不思議とマッチするんですよねぇ。
ドーガの足がなく、宙に浮いているデザイン、あれを考えた人には拍手ですね。

ロレンス
ドーガが尊敬するジェネラル。
まもりのサイドストーリーで彼を敵として討つのですが、これがまた強い。
5回くらいはやられたと思います。
お供に2匹のミラージュを連れているのですが、それすら倒せなかった時もあります。
ドーガやロレンスについては、元いた世界の記憶を少しは持っているような気がしました。

【ストーリー】
メインストーリーにもサイドストーリーにも「芸能という舞台を通して、キャラクターそれぞれが抱える「自分の壁」を乗り越えていく」という色が濃くなってきました。
過去の自分と向き合ったり、演者として高みを目指したり……
その特訓におつきあいするのが、主人公である蒼井樹の役割といった感じです。
いろいろな意味で、ファイアーエムブレムのロードだなぁと思わせるシーンが多いです。
今、気になっているのが、彼がロード役として、どのように剣弥代に接するのかということです。
というのは、私自身、まだ蒼井樹と剣弥代との距離感が掴めていないからです。
男性キャラとしては、既に赤城斗馬がいますが、彼はもともと主人公の親友なので、サイドストーリーではよき相談相手として自然な感じで主人公と絡むのですが、剣弥代の場合は「さぁ、どうなるか。」といった感じです。
剣弥代その人もまだ、謎の多い人物といった印象です。
ナバールも強そうなのですが、果たして…

【音楽】
そこまで印象に残った曲というのはなかったような……
ただ、織部つばさ、黒乃霧亜はアドリブパフォーマンスで曲が流れるので、何回か見るうちにその挙動とともに記憶に残っています。