クラインのメモ帳

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『ファイアーエムブレム紋章の謎』プレイ感想

国内売上78万本を誇る「シリーズの人気を決定づけた」と評される作品のプレイ感想。
プレイ時間は、第一部が約30時間、第二部が約40時間の計約70時間。
プレイ環境はニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンです。

【全体的な感想】
本作のプレイは『暗黒竜』→『紋章第一部』→『聖魔』→『紋章第二部』という順で進めたため、第一部と第二部でプレイ時期に差があります。
また、やり始めたときは「マルスたちが帰ってきた!」という感じのワクワク感が強かったですが、『暗黒竜』クリア後、すぐにプレイを始め、ストーリーの記憶が強く残っていたため、ストーリー進行的には少しダレる部分もありました。
反対に、「これがスーパーファミコンだ!」と言わんばかりの、リメイクされたグラフィックやサウンドに圧倒される度合いも、『暗黒竜』からの連続プレイだったため、とても強かったと思います。
オープニングで流れるストーリーや音楽も『暗黒竜』をプレイしていればこそ、「おおっ!」と思わせるものでした。
第一部は登場キャラクター、マップ、一部の音楽を除き、それほど『暗黒竜』からの変更点はないという印象でした。
一番変わったのは、エンディングの各キャラの後日談でしょうか。
第二部にストーリーが続くことを意識して、変更された箇所がありました。
その第二部ですが、序盤の5章あたりまで、特に難しく感じました。
2章目で早くもドラゴンナイトが出てきたときには、焦りました。
また、5章でクラスチェンジアイテムが購入できる点などは「早くユニットを育てないと大変なことになりますよ」と言われているようでした。
序盤の山を過ぎると、クセが強く、初見での攻略は難しいが、そのマップの特性が分かってしまえば容易な章がしばらく続きました。
シスターへの攻撃がNGとなるカダインのエルレーンを仲間にする10章などはその代表かと思います。
この「あることをするとダメ」あるいは「あることをしないといけない」といったパターンの他、随所に「アイテムを持って登場し、逃げ回る盗賊」も登場し、プレイヤーを試してくる要素が満載なのが第二部です。
紋章の謎』の本番は第二部というのも頷けます。
この第二部あたりから『トラキア776』あたりまでが、加賀昭三さんというひとの作風を意識し出した気がします。
キャラクターもストーリーも、「これぞファイアーエムブレム!」という感じの作品でした。

【システム】
『暗黒竜』との比較ですが、アイテム周りが大きく変化したと思います。
まず、アイテムを持てる数。
これは『暗黒竜』では4つでしたが、『紋章』では武器4つ道具4つに拡大しました。
持てる数が増えたので、便利にはなりました。
が、アイテムを過剰に買い込み、金欠気味になることも増えました。
また、預り所に代わって輸送隊が登場し、マルスに近接すればアイテムの受け渡しができるようになり、利便性がアップ。
進軍準備では出撃ユニットを選択するほか、アイテムの整理もできるようになり、手間が大幅に省けた感があります。
マップの攻略後、拠点制圧前にアイテムをせっせと受け渡していた『暗黒竜』からするととても楽になったと思います。
アイテム関連のダメ押しとしては、埋もれたアイテムを入手するというシステムも加わりました。
盗賊系ユニットだと100%入手可能という点も以降の作品に受け継がれています。

他のシステムで気になったのは、闘技場で使用する武器が持ち込みではなくなったことでしょうか。
持ち込みではないので、武器耐久を気にする必要はないのですが、渡される武器が「てつの○○」や「サンダー」なので、通常であれば勝てる相手にも苦戦を強いられて、敗れることがままありました。
必殺の一撃を祈ることでしか勝てない対戦も増えました。
あと、闘技場といえば、マムクートではなく、竜族が普通に出てくることがありましたが、どうやって飼いならしているのかなどの点は深く考えないほうがよさそうな部分だと思います。

【キャラクター】
本作で登場するキャラクターはリメイクやOVA(!)、スピンオフ作品にも登場しており、比較的知名度が高いものと思います。
正直、初めてのファイアーエムブレムが『暗黒竜』だったこともあり、思い入れはかなり強く、また、今後強くなっていくものと思います。
第一部では、各キャラの立ち位置が幼馴染、恋愛関係、兄弟姉妹、主君と家臣など、それぞれどんな関係なのかが丁寧に描かれています。
それを受けての第二部ですので、キャラクター描写よりもストーリー重視(紋章の謎マムクートについてなど)、あるいはより深いキャラクター描写(オグマの過去など)が可能だったのではないかと思います。

個別のキャラクター印象ですが、みんながみんな好きなキャラクターを取り上げるかもしれません。
「え?」と思うキャラクターが入っていれば幸いです。

バヌトゥ
竜石に使用回数制限ができたことで、まったく使いませんでした。
結論から言うと、竜石を使っても使用回数に余裕はあったのですが、それだけに終わった後に使わなかったことを後悔しました。
かなりの壁役になれるので、2周目以降で上手く使えたらなと思います。

チェイニー
いやぁ、本当にすごい配役だと思いました。
マムクート語り部とでもいうのでしょうか。
バヌトゥでもチキでもガトーでもこの雰囲気は出せなかったと思います。
当時プレイした人の中にも「え?こいつが??」と思った人は多かったのではないか、と思います。

ジェイガン
第二部では出撃せずにマルスの補佐役となります。
ストーリー全体の語り部となっていますが、老いてなおというように、なかなかアツい人だと思いました。
特に、ラングに反旗を翻す場面や自分を責めるマルスを励ますシーンなど、この人を見ていると、本当にマルスが、そしてアリティア王家が好きなのだなと思います。
また、OVAではマルスの父コーネリアス、さらにその父のマリウスに仕えていたことも描写されています。

チキ
『暗黒竜』ではマムクートというユニットのグラフィックしかありませんでしたが、本作では彼女専用のグラができました。
人型のときの動きが可愛いです。
また、神竜に変身後のモーションが独特で、こちらもチキらしい可愛さがあります。
神竜は毛並みが柔らかそうな感じですね。

ラング
ここまで小物でありながら存在感のある敵キャラクターもファイアーエムブレムでは珍しいのではないでしょうか。

ボア
魔法系のキャラクターが多く登場する本作で、ただでさえ、存在が薄いのに、第二部ではとんでもないことを言ってくれます。
「お前が諸悪の根源だったのか…」と理解することもできる人物です。

マリーシア
第二部のダークホース。
闘技場で傷ついたキャラを回復しながら地道にレベルアップさせました。
司祭にクラスチェンジさせてからの彼女の無双ぶりはすごかったです。
専用魔法以外の魔法攻撃ではリンダやマリクを差し置いて、圧倒的な火力でした。

マチス
公式で「バカ兄貴」と呼ばれていたり、敵としての登場時に容赦なく攻撃してきたりと、困ったキャラクターです。
しかし、ジュリアンで説得して、仲間に入ってもらう際の「弟よ」の一言で全てが許せてしまうなど、愛すべきキャラクターのひとりだと思います。
マチスでレナを説得するとかあったら面白かっただろうなぁ。

色々と書きたいキャラクターはたくさんいますが、まずはこんな感じでしょうか。

【ストーリー】
第一部は『暗黒竜』と同じく、終始、「さぁ、行くぞ!!」という雰囲気の中でストーリーが進んでいく印象です。
それぞれの章毎の目的があり、それを達成して、次の目的へと順々に進んでいく、そんな感じのストーリー展開だったと思っています。
だんだんと目的が大きくなっていくのですが、マルス軍の人員も士気もそれに伴って増えていく、そんな感じです。
対して第二部は、最初から割と劣勢、ストーリーも「かつての盟友が本当にそんなことをするのだろうか?」という疑心暗鬼な中で進んでいきます。
祖国アリティアが襲撃されるなどの事件がありながらも、ただ前を見て進んでいくマルスたち。
タイトルにもある「紋章の謎」を解きながら、敵将ハーディンに迫っていくストーリーは、襲い来る強力な敵ユニットとの攻防の中で行われるため、否が応でも盛り上がってきます。
絶望の淵といってもいい状態からもがきながらの進撃、そして転進。
物語が進むと敵軍が戦意喪失しているマップも登場します。
それに連動するかのように、マップ攻略も心なしか序盤よりも中盤以降終盤にかけての方が簡単だったような気がします(敵ユニットは終盤の方が強いですが)。
ストーリー上、「ほしのかけら」を集め、「オーブ」を作り、その「オーブ」を複数個集めることで「ふういんのたて」が完成するのですが、逆に言えば、「ほしのかけら」を集め損ねると「ふういんのたて」は完成しません。
その場合、別エンディングを迎え、ゲームオーバーになる、というのは、当時としては珍しかったのではないでしょうか。
各章内ではその章の主役といえるキャラクターにスポットが当たり「愛と勇気の物語」の断片が語られます。
それが、終章で「愛と勇気の物語」に結実する。
まさにファイアーエムブレムなのではないでしょうか。

【音楽】
第一部はリメイクですが、戦闘の曲など音楽が新しく作られた部分もあります。
個人的には、『暗黒竜』のものをブラッシュアップしてものを聴きたかったですが、難しかったのかもしれません。
あるいは、『暗黒竜』の音楽に制作者自身、不満を持っていたのかもしれません。
第二部は「進撃」や自軍ターンの戦闘曲など、『紋章』を代表する楽曲が数多く登場します。
「進撃」を含む、自軍ターンのマップ音楽は、そのままマルスたちの心境を表しているようで、聴いていて気分が盛り上がりました。
特に、アリティアに帰ってきた第15章あたりで、ようやくストーリー的にも攻勢に転じるのですが、そこでマップ音楽が変わったのには感動を覚えました。
あと、第一部、第二部ともエンディングがいいですね。
エンディングには作中での楽曲がふんだんに使われているので、ゲームの余韻に浸ることもできました。